青春ノ頁 その6
2024年4月25日 17:33
私と高校野球(6) ―― 三年生送別会の思い出 ――
八尾高校野球部 元監督 伊藤 敏幸
八尾高校では卒業式の一週間前ぐらいになると、各部で三年生の送別会が行われました。野球部でも普段の練習とは違った雰囲気で行われる大切な行事になっていました。
机をコの字に並べ、あらかじめ用意した菓子やジュースなどをその上に並べます。準備ができたところで、三年生の入場です。
次第はおおむね次のとおりです。
・ 三年生入場
・ 開会のことば(二年生キャプテン)
・ 部長先生からのことば
・ 記念品贈呈
・ 余興 (一・二年生からの出し物)
・ 監督先生からのことば
・ 一・二年生からのことば(ひとりずつ)
・ 三年生からのことば(ひとりずつ)
・ 三年生退場
記念品は、部員一人ひとりと監督が交換日誌のように書いてきた「野球ノート」、3年間で大学ノート3冊ほどになるのですが、それを製本して贈ることにしていました。
余興では、クイズあり、モノマネあり、寸劇あり……。愉快で楽しいひとときであるとともに、生徒の意外な面を見ることができる貴重なひとときでもありました。特にS君とS君のコントは絶妙で、大いに笑わせてもらいました。わたしも指名されることから、手品の小道具を用意してなんとかその場をしのいだりしました。
送別会のクライマックスは、なんと言っても「三年生からのことば」です。現役を引退して半年ほど経って野球部での活動を振り返ったとき、喜びや悔しさ、反省や感謝など、冷静に顧みることができるのでしょう。涙を流しながら思い出を語り、一・二年生へアドバイスを送ります。一・二年生にとっては、三年生への尊敬の念をいっそう強くすると同時に、まもなく始まるシーズンに向けて決意を新たにする言葉でもあります。
送別会は、わたしにとって、三年生にいい思い出を残してやれなかったことを悔いる時間であるとともに、監督冥利に尽きる思いをもつ時間でもありました。